2010年9月24日金曜日

渋谷駅のうつりかわり [6/6]

2010 年 9 月 24 日
Posted by 田村圭介 /昭和女子大学環境デザイン学科准教授

6.渋谷駅はこれからどのようになるのか

東京都と渋谷区は、2008年「渋谷駅街区基盤整備方針」を発表した。そこには、渋谷駅の青図が描かれている。渋谷駅は駅上空をもとめて、他の再開発地区と同じように超高層化されていく。地面から離れた高層部分では一般的な無機質オフィス空間が広がるが、足元において渋谷駅の独自の空間は持続されていくだろう。

■2012年のシナリオ
東急文化会館跡地に現在建設進行中の超高層複合施設ヒカリエが2012年にオープンする。東急文化会館にあったプログラムを現代風にアレンジして超高層ビルの箱内で再構成したものだ。西にマークシティ、東にヒカリエが二大双塔の格好で渋谷駅を形作る。かつて渋谷のシンボルであった東急文化会館屋上プラネタリウムの銀色球体は、このたび文化総合センター大和田(2010年11月にオープン予定)の屋上に移された。
また、2012年には東横線が明治通り下へ地下化し、地宙船にて副都心線と相互直通する。

■大改造計画
2012年以降は、東急線プラットホーム跡地をどうするかが一つの焦点となりそうだ。資本の流れを生み出す源泉である超高層ビルが、東横百貨店(現東館)の解体を利用してそこに建設されるからだ。
新たな超高層ビルの足元では、現在離れて不便である埼京線・湘南新宿ラインのホームを東横線地上ホーム跡地へ持ってくる。銀座線ホームを明治通りと山手線の間に東寄りへ移設する。山手線ホーム上の改札口を全面的に広大な乗り換えコンコースへ建て替える。マンモス歩道橋は、東西広場を越えるペデストリアンデッキへ変貌する。ハチ公口・西口・東口の各広場とバスターミナルを拡大する。
渋谷駅の大改造である。

■中締め
このブログの終わりにあたって、改めて渋谷駅とは何なのだろうか。1885年の発生以来、日々鉄道が走り、人々の流れができ、渋谷駅が形成されてきた。それはサンゴ礁のようなものだ。サンゴ礁とはサンゴの生命活動の結果作られた地形のことだが、私の作業はその地層の一層一層を考察するものである。渋谷駅は、時代時代の要請や欲望を物理的に具現化し、それらが堆積してきた過程の総体である。

渋谷駅の変化のある限りこの文章には実は終わりがないので、ここでいったん中締めということになろうか。今回このブログを書くにあたって様々な方々にお世話になった。この場をお借りして感謝したい。
渋谷駅は終わりのない文章でありつづけてほしい。


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